
麒麟の翼 / 東野圭吾
■概要/感想
加賀恭一郎シリーズの第9作目です。
家族のあり方について書いた『赤い指』と人情を描いた『新参者』の双方の要素を取り入れた作品となっているようです。
舞台は『新参者』と同じ日本橋です。
ここには五街道の起点であることから、「ここから羽ばたく」という意味を込め橋の中央に大きな翼を持った麒麟の像が設置されています。
表題の「麒麟の翼」はこの麒麟の像を示すもので、この物語において重要な意味をあらわしています。
私の麒麟の像に相当するものは、大田小学校の図書館かもしれません。
■あらすじ
寒い夜のこと。日本橋の欄干にもたれかかる男を巡査が目撃した。
男の胸にはナイフが刺さっており、どうやら男は死にかけた状態でここまで歩いてきて、力つきたようだ。
その後、男は病院で死亡してしまう。
加賀と松宮も参画して事件の捜査が始まる。
その中、事件直後に若い不審な男が現場から逃走中にトラックにはねられ、昏睡状態に陥っていることが分かった。
「彼が人殺しをするはずがない」と否定する恋人。
しかし、彼の持ち物からは被害者が持っていた財布と書類鞄が発見される。
そして、被害者とのある関係が浮上したことから、警察は不審な男を犯人と断定し裏付け捜査を進めてしまう。
一方、被害者が部長を務めていた会社で「労災隠し」が発覚し、その責任が被害者にあることが公になる。
このことで被害者家族は一転して世間・学校からのバッシングにさらされてしまう。
果たして、若い男は犯人なのか。被害者はなぜ瀕死の状態で日本橋まで歩いてきたのか。加賀と松宮はその真相に挑む。
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